お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「では、カップルかどうか確かめるための簡単なチャレンジに挑戦していただきますね〜」



へ!?

チャ、チャレンジ……?




首をかしげた私に、ウエイトレスさんが説明をした。





「なになに、心配するほどのことではございません。お互いに自分の目の前のケーキを、相手に食べさせてあげるだけです!いわゆる “あーん” です!………簡単でしょう?」




ウエイトレスさんの説明を聞いて、ほっとした。



なーんだ、大したことじゃないじゃん。

ケーキを食べさせるだけなら、全然余裕だ、と思って。




フォークでショートケーキを切って、載せて。




みっくんの口元まで運んだ。





「みっくん、口開けて………」




みっくんが素直に唇を開いた。





そして、フォークごとケーキを押し込もうとしたときに気づいてしまった。




待って、これってもしかして間接キス………っ!?




こういうのって一度意識してしまったら、途端に恥ずかしくなるもので。




フォークを持つ手がふるり、と震えた。





そしてみっくんの唇を見すえる。


すると、なぜか、こんな時に限ってみっくんとのキスを思い出しちゃって。





………どうしよう、恥ずかしさが尋常じゃない。




みっくんはその間ずっと口を開いたままで。

………早くしなきゃ。




ええい、もうどうにでもなれ……!



ぎゅ、と目を閉じてフォークを押し込んだ。





「甘、」



みっくんの呟きにパッと目を開けると、みっくんが唇の端についたクリームをぺろりと舐めていた。



その行為が色っぽすぎて……目を逸らしたくなる。
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