お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


そんな私の気持ちなどつゆ知らず、
みっくんは自分のケーキを載せたフォークを私に近づけてくる。



「はい、あーん」



みっくんの声に、私は口を開いたけれど。



間接キスだと意識してしまっている以上、恥ずかしすぎてなかなか食べられない。



うぅ………っ、どうしよう………。





と、葛藤していると、みっくんの低い声が私の背中を押した。




「早く食えよ」


「っ〜……!」




みっくんの命令口調は、決して強いわけではないのに逆らえない。



私はぱくりとケーキを口に含んだ。




それを見たウエイトレスさんが、



「はぁーい、OKです!では今すぐお持ちしますね〜」




明るい声をあげて、戻っていった。






私はというと、みっくんが食べさせてくれたブルーベリーレアチーズタルトをしばらく堪能する。




「ショートケーキも美味しかったけど、これもめっちゃ美味しいね………!幸せ……っ!」




うっとりとしながら感想を言うと、みっくんがふ、と笑った。





「さっきさ、どうしてここに連れてきてくれたのかって聞いたよな」


「うん」



「本当はまだ他に理由があるんだ」




唐突なみっくんの言葉に、私は瞬きを繰り返した。



他の理由が………?





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