お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「一つはその顔」
みっくんがつん、と私の頬を指先でつついた。
「甘いもん食ってるときの、ひまりの緩みきった幸せそうな顔が見たくて、」
「っ!」
「そして二つ目」
みっくんは手元のブラックコーヒーを持ち上げた。
「俺さ、最近気づいたんだけど……」
みっくんが私を見て、それからケーキを見て。
「ブラックコーヒーと甘いケーキって合うんだよな、意外と」
「へ……?」
「ずっと、甘いもんはニガテだったけど、今はそうでもない」
みっくんは、手元のケーキを一口含んで。
咀嚼して飲み込んで、また口を開いた。
「苦いと甘いって、ずっと正反対だと思ってたけどさ、本当は相性抜群なんだよ」
「………!」
私は思わず目を見開いた。