お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
……大丈夫だよ、夏奈ちゃん。
もう、慣れたから。
心配しなくても、平気だよ。
「えへへ……また、逃げられちゃったぁ」
笑顔を浮かべながら、夏奈ちゃんのほうを振り向くと、夏奈ちゃんは、むっとしたような顔をして、私の額を小突いた。
「ひまり、ムリして笑わなくていいよ」
「うん……」
夏奈ちゃんがそっと頭を撫でてくれて。
一気に寂しさが押し寄せてきた。
……もう慣れたよ。
みっくんが、私にだけ冷たいこと、もう充分わかったんだよ。
……でも、いつまで経っても平気にはなれなくて。
慣れたからといって、傷つかないわけではなくて。
寂しいよ。
みっくんに、こうやって避けられるのは、寂しくて、苦しくて、泣きたくなる。
じわり、と目頭が熱くなる。
………おかしいなぁ、こうやって避けられるのは初めてじゃないのに。
目が潤むのを抑えられない。
「ひまりには……悪いんだけど」
夏奈ちゃんが、ぼそっと小声で言う。