お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
ほっとして、こわばっていた力が抜けていく。
「そっか……、ごめんね!変なこと言って!」
「ううん、夏奈ちゃんの気持ちは、すごーく嬉しかったよ!」
身振り手振りしながら、嬉しさを伝えようとすると、夏奈ちゃんが、ふ、と吹き出した。
「わ、笑わないで……恥ずかしい……!」
それで我に返って手振りしていた腕を、ささっと下ろした。
けど、夏奈ちゃんはなおも笑っていて。
「ふふふ、あ、ひまりが決めたことなら、私は応援するのみだから!もう、ひまりの気持ちは聞けたし、余計なことは言わないからねっ」
安心して、と続けた夏奈ちゃん。
「夏奈ちゃんがいてくれたら、心強いね」
「そんなこと言われたら、頑張らなきゃじゃん!」
夏奈ちゃんは、妙に気合いが入ったようで。
小さくガッツポーズまでキメている。
頑張る、といえば……
「まずは、水着作戦………かなぁ」
見たことのない姿を見せるというアレ。
「そうだねっ!………まぁ、その前に期末テストあるけど」
「……」
目に見えて、げんなりする私。
せっかく忘れてたのに………!
週明け、期末テストがはじまることなんて。
夏奈ちゃんのイジワル。
そう思ったと同時に、夏奈ちゃんがあはは、と笑い声を上げた。