お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
私たちの学校の、臨海学校の体験プログラムは選択制。
ガラス細工や、簡易プラネタリウム製作に和紙作りなど10種類前後の中から、班で一つ決めるんだ。
女の子の班は、だいたいがガラス細工みたい。
たしかに、キラキラしてて可愛いし、記念に残るし……ね?
私たちの班も、満場一致で決定したんだよ。
「…ねぇひまり、さっきからキョロキョロしてるけど、」
……そう。
私は、夏奈ちゃんの言葉を聞き流す勢いで、さっきから背伸びをしながら辺りを見回していたんだ。
「って、あー。……棚橋くんかぁ〜」
「……えへへ」
誤魔化し笑いをしてみたけど。
………そんなに分かりやすいかなぁ、私。
夏奈ちゃんの言う通り、私はみっくんを探していたんだよね。
みっくんと会う機会は、あのショッピングモール以来なくって。
久しぶりに顔が見たかったのもあるけれど、
せめて、どの体験を選んだのかだけでも知っておきたいなぁって思ったんだけどなぁ。
みっくんは4組だから、絶対この中にいるはずなのに。
みっくんのかくれんぼが上手いのか、私の背が低いのか(たぶん後者)、みっくんの姿は見当たらない。
……困ったなぁ。