お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
それだけじゃない。
みっくんは、めっきり冷たくなった。
ううん……苦くなった。
もちろん、みっくんは元からあんまり優しい王子様タイプではない。
でも、絶対無視はしなかったし、舌打ちや睨むなんてもってのほか。
だったのに。
今のみっくんは、私が話しかけてもほとんど無視。今日、返事を返してくれたのなんて奇跡に近い。
それでも、近づこうとしたならば舌打ち。
それでも諦めなければ、最後は睨まれる。
今まで “ひまり” って、名前で呼んでくれてたのに、それさえも呼んでくれなくなって。
今では良くても “おまえ” としか。
苦い。苦くて、苦しい。
大っ嫌いなブラックコーヒーを飲んだときのような気持ちになる。
それから、みっくんの彼女はどんどん増えた。
同級生から始まって、ついにはセンパイまで。
今、みっくんの彼女、何人いるんだろう……、きっと数え切れないほど。
みっくんの彼女は、みんな可愛い。
みっくんと並んでも引け目をとらないほど。
性格までは知らないけれど……みっくんが選んだ人だから、きっと素敵なんだろうな。
みっくんの彼女に文句なんてない。
文句なんて一つもない。
ただ……羨ましいだけなんだよ。
だって、みっくんは彼女には優しいって聞く。
私だって見たもん。
みっくんが、彼女らしき人に優しく微笑んでいるところ。
私の大好きな、みっくんの笑顔だった。