お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*

「ふあぁ………疲れたぁ~〜っ」


ぼふっと布団にダイブする。


「ひまりちゃん、何言ってるの〜〜、本番はここから、でしょ?」

「そうそう、香音の言う通り!」



………ほぇ?



「お泊まりの夜といえば、アレしかないじゃん!!!」

「「「恋・バ・ナ♡♡」」」




見事にそろった皆の声。

えっと………“こいばな”って……。



自分の無知さに嘆いていると、夏奈ちゃんが耳打ちしてくれた。



「恋バナ……要するに恋の話ってこと!」

「ほぉ〜……ってえええ!?」



私がいきなり大きな声を出したからか、
周りのみんなが一斉に肩をビクッと揺らした。



「ど、どうしたのひまりちゃん……」


おずおずと香音ちゃんが尋ねる。



「な、なんでもないよ………へへ」



慌てて笑って誤魔化したけど。

だって恋の話って!!
ここにいるみーんな、恋したことがあるの!?



「ふふふー、ひまりちゃんはその感じじゃ、今日は聞く専かな」


パジャマ姿の香音ちゃんが、ふわっと笑いながら布団に寝そべった。


皆もそれにならって寝そべる。



────臨海学校1日目。
夜はまだまだこれからのようです。
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