お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*



……とはいえ。
香音ちゃんが言った通り、今日は本当に聞く専になりそう。


だって、キャッキャッと楽しそうなみんなの会話に早くもついていけないもん。

『5組の市原くんがカッコイイよね〜っ!!』

なんて言われたって、市原くんて誰なんですか───!?って感じだからなぁ。


挙句の果てに、夏奈ちゃんまでその輪の中で楽しそうに会話に参加しちゃってるからもうね………なんだか取り残された感が尋常じゃない。




─────「ほら、もう皆話したんだから次は香音の番だよ!?」


しばらくして。
私と香音ちゃん以外が、一通り自分の恋の話をし尽くした。

私はもうノーカウントだから、おのずと順番は香音ちゃんの番。



「えぇ~〜、もう?………恥ずかしいよ〜……」


皆に急かされて、恥ずかしそうに頬を染める香音ちゃん。


「皆もう話したんだからね?それに、香音だけでしょ、この中で彼氏持ちって」


香音ちゃんと仲良しの絵美ちゃんが言う。


「皆、香音の話で胸キュンしたいんだから~っ、ね?」


もう一人の同じ班の女の子、雪帆(ユキホ)ちゃんも口を開いた。



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