お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
そんな2人の質問に、香音ちゃんは顔を曇らせて答えた。
「嫌に決まってるよ、そんなの」
さっきまでの明るい口調とは全く違った、少し寂しそうな声色で。
「私が一番最初に告白して、まさかのOKをもらえて、自分は光希のトクベツなんだって思ってたのに。予想外に光希が来るもの拒まずだから、彼女はどんどん増えてくし…… ほんとありえないしサイテーって思った」
絵美ちゃんや雪帆ちゃんは、うんうん、と頷いて聞いているけど私はさっぱり。
そういうものなんだ。
彼女さんが何人もいるって、ありえないんだ……?
私にはあんまりピンと来ない。
「好きな人には、私だけ見ててほしいじゃん。……一応彼女なのに。他に彼女なんて作ってほしくないし、他の女の子を好きになんてなってほしくもない。」
香音ちゃんが、ぐっと眉を寄せて苦しそうな表情になる。
それから諦めたように微笑んで。
「……でも、それでも光希が好きなんだよね。あんなに来る者拒まずで、毎回少なからずショックを受けるのはわかってるのに……。光希の優しい部分とか、可愛いところとか知っちゃったら、もう好きじゃないことにするなんてこと、できないよね」
香音ちゃんの、切なそうな、幸せそうな、“恋する乙女”の表情に、私の心まで掴まれてしまった。
………みっくんって罪な男の子だ。
こんな可愛い女の子を悩ませるなんてね?