お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

釈然としないまま、話題は逸れて。


「ってかひまり、なんで水着隠そうとするの?もったいないっ!!」

それに、全然隠せてないし!!、と夏奈ちゃん。


だ、だって………。



「うぅ~……っ、やっぱ私にはハードル高すぎるよ~~~っ、こんなの下着も同然だもん、恥ずかしくて普通に歩けない~~~っ」



思わず夏奈ちゃんに泣きつくと。



「周りを見なさい!女の子は皆同じカッコだから、恥ずかしさなんて忘れるから大丈夫でしょ」


たしかに、視界に入る女の子達は、みーんなビキニだけど!!

皆着こなしているから羨ましい。


「それにさぁ……」

「それに…?」

「ひまり、忘れたとは言わせないよ?」


え?!

わ、私何か言ったっけ………。



ぽかんとする私に、夏奈ちゃんが呆れたように肩をすくめた。



「これは、さ・く・せ・ん!!……でしょ?」



含み笑いを浮かべた夏奈ちゃんの、“作戦” という言葉にようやく何のことか思い出した。


そうだった。

この水着を一緒に買いに行ったときに夏奈ちゃんが言っていた、“作戦”。



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