お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「それより、やっぱり意外。棚橋くんって勝手なイメージだけど、優しい王子様っぽいじゃん」


「そんなこともないよ?……今ほどじゃないけど、昔からちょっとだけ意地悪だったんだよ、みっくんは。夏奈ちゃんも、知ってるでしょ?」



…そう、私たちはお昼ごはんを食べながら、私が昨日みっくんに『彼女になりたい』って言って断わられた話をしていた。




「知ってるよ! ……ほんっと、ひまり達との出会いほど衝撃的なモノはなかったわ~」

「その節は、ほんっとごめんね……」

「まぁ、こうして今ひまりと友達なんだから、あれはあれで良かったんだよ」



高校に入学して、そろそろ3ヶ月になる7月。

今では一番の友達の夏奈ちゃんだけど、
初めて出会ったときの事件は忘れられない。


*


あれは、入学前の春休み。
高校の説明会に行った帰り道だった。



『ちょっとみっくん?待ってよ、早いよっ』

『ひまりの足が短いんだろ』


みっくんと一緒に帰ってきてたんだけど、
みっくんが歩くのが早すぎて。



───…… ドテッ



着いていこうと足を早く動かしたのが仇となり、派手に転んでしまったんだ。
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