あまりさんののっぴきならない事情
お茶汲み秘書の話すのやめときたい秘密
 




 なんだかわからないまま、あまりは帰り支度をし、海里と新幹線のホームに立っていた。

 ど……怒濤の展開で、まだついていけていないのですが。

 でも、とりあえず、ちょっと寒いな、と思っていた。

 ホームは風が強くて、思わず、目をしばたたく。

 すると、海里が、突然、
「勘違いするなよ。
 みなが忙しく、お前だけが暇だったから誘っただけだからな」
と言ってくる。

 わかってますよ、と答えながら、

 何処をどう勘違いする余地があるんだ、とか。

 今、いきなり、斜め前に動いたな、とか思っていた。

 少しだが、海里のお陰で風が当たらなくなった。

 ありがたいが、何故、毒舌を吐きながら移動する必要があるんだろうかな、とこの人は、と思ってしまった。

「自由席とか乗るんですね」

 意外に思い、あまりは訊いた。

 普通に券売機で、自由席の切符を買って、今、此処に並んでいるからだ。
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