あまりさんののっぴきならない事情
「んー。
 お父さんが昔吸ってたような記憶がありますけど。
 今は吸ってないですね。

 おにいちゃんは、煙草を吸うと老けるとかいう伝説を信じて吸いません」

「伝説じゃなくて、煙草、吸うのもだが、肌についても悪いから、皮膚が老化するって話だろ。
 まあ、本人吸わなくても、側に居るだけで、同じことだと思うが」

 そこで一瞬、沈黙が訪れた。

 うーむ。
 よく知らない人と旅をするのに、沈黙しているのは気まずいぞ、と思ったあまりは、
「そういえば、昔は、二階建ての新幹線があったらしいですね」
と新幹線つながりで話を振ってみた。

「そうだな。
 今でも東北の方では走ってるぞ。

 いずれ、なくなるようだが。
 西はグランドひかりって言うのがあったな」

 子どもの頃、見た気がする、と海里は言った。

「出来た当初は、最上級のグリーン車がある豪華な新幹線だったらしいぞ」

「豪華な新幹線ですか。
 殺人事件が起きそうですね」
と言うと、なんでだ、と言う。
< 134 / 399 >

この作品をシェア

pagetop