あまりさんののっぴきならない事情
「二階建て車両殺人事件とか」
「……なんでも殺人事件にするな」
「いや、豪華な車両というと殺人事件ですよ。
イギリスだったら――」
「オリエント急行殺人事件だろ」
「いいですね、豪華列車」
と笑うと、
「乗ってみたいか?」
と訊かれる。
「そうですね。
でも、海外は苦手なんで……」
「オリエント急行は日本を走ったこともあるんだぞ」
いきなり語り出した海里の横顔を見ながら思う。
……うーむ。
さっきから思っていたのだが。
「あのー、海里さんは、いわゆる『鉄』とかおっしゃる方なのですか?」
偉く鉄道に詳しいが、と思って訊いてみると、
「そうじゃないが、男は好きだろ、鉄道」
と言ってくる。
偏見だ……。
「でも、うちのお兄ちゃんなんかは、止まってられない人なので乗り物が苦手なんです。
飛行機とか発狂しそうになるとか言って、いつも寝てます。
新婚旅行、奥さんが海外って言ったらどうするのって言ったら、船で行くって言ってました」
それはそれでゴージャスだな、と海里は呟く。
「……なんでも殺人事件にするな」
「いや、豪華な車両というと殺人事件ですよ。
イギリスだったら――」
「オリエント急行殺人事件だろ」
「いいですね、豪華列車」
と笑うと、
「乗ってみたいか?」
と訊かれる。
「そうですね。
でも、海外は苦手なんで……」
「オリエント急行は日本を走ったこともあるんだぞ」
いきなり語り出した海里の横顔を見ながら思う。
……うーむ。
さっきから思っていたのだが。
「あのー、海里さんは、いわゆる『鉄』とかおっしゃる方なのですか?」
偉く鉄道に詳しいが、と思って訊いてみると、
「そうじゃないが、男は好きだろ、鉄道」
と言ってくる。
偏見だ……。
「でも、うちのお兄ちゃんなんかは、止まってられない人なので乗り物が苦手なんです。
飛行機とか発狂しそうになるとか言って、いつも寝てます。
新婚旅行、奥さんが海外って言ったらどうするのって言ったら、船で行くって言ってました」
それはそれでゴージャスだな、と海里は呟く。