あまりさんののっぴきならない事情
 




 ケチをつけてしまったが。

 服部半蔵のお陰て助かったな、と海里は思っていた。

 こんなことは初めてなのだが、あまりの部屋を訪ねるのに、らしくもなく、緊張していたのだ。

 あまりはニコニコと食器の用意をしてくれている。

 ……可愛いな。

 あまりも緊張して、ぎこちなくなるのではと危惧していたのだが。

 ありがとう。
 服部半蔵。

 あんなこと言ったが、事件には協力してやろう、と思う。

「和食だから、日本酒の方がよかったか?
 ちょうど、いいワインを見つけたから買ってしまったんだが」
と言うと、

「いえー。
 ワインでいいですー」
と言いながら、あまりはご機嫌なようだった。

 しかし、こいつ、こんな簡単に食べ物で釣られて大丈夫なんだろうか、といささか不安になる。

 成田という、美味しいものを携えたイケメンがすぐ近くに居るからだ。







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