あまりさんののっぴきならない事情
もう終わりです……
考え疲れて、うたた寝してしまった夢の中。
はははは、と海里の会社のあるビルの上、マントを着た海里が現れた。
いつもは、かかったな、あまりっ、と叫ぶところだが、その海里は怒ったように、
「かかってないじゃないか、あまりっ」
と言ってきた。
まったくです。
私が一目惚れした相手は海里さんではなかったようです。
うなされていたあまりをチャイムが起こす。
インターフォンを取り、
「服部さんですか?」
と言うと、
「……なんで服部限定だ」
と海里の声がする。
貴方でないといいなあ、と思ったからです。
そして、服部さんなのは、単にお隣りさんなので、現れる確率が高いからです、と口に出さずに思っていると、
「いいから、開けろ」
と海里は怒ったように言う。
ドアを蹴破られそうな勢いだったので、海岸で十字架にはりつけになって、今、まさに火をかけようとされているような気分で、それを開ける。
海岸なのは、海水で消せないかなあ、とつい、逃げ道を探してしまったからだろう。