あまりさんののっぴきならない事情
 ドアを開けた海里が、うわっ、と驚く。

 いきなりあまりが土下座していたからだ。

「どうした、あまりっ。
 まさか、服部と浮気したのか?」

 何故、服部さん、と冷たい廊下に額をぶつけたままあまりは思う。

 今、自分が服部さんですか、と言ったこともすっかり忘れていた。

 そのくらい、昼間の衝撃がすごかったのだ。

「……すみません。
 もう合わせる顔がありません。

 別れてください」

 あまりは頭を下げたまま言った。






< 323 / 399 >

この作品をシェア

pagetop