あまりさんののっぴきならない事情
一体、なにが……と海里は玄関で固まる。
まだ食べてないのなら、今日は何処かへ連れていってやろうかと思っていたのに。
ドアを開けたら、あまりは土下座していて、別れてくれと言い出した。
っていうか、別れてくれって……。
お前、付き合ってる自覚はあったのか、とまず、そのことに驚く。
あまりは土下座し、ぷるぷると震えている。
一体、なにがあったんだ、ほんとに、と海里は、その場にしゃがむ。
他の男に襲われたとかだったら、とりあえず、そいつを殺して、あまりは監禁しよう。
そう思いながら、その場にしゃがみ、あまりに呼びかける。
「どうした?
なにがあった」
あまりは頭を上げないまま言ってきた。
「私、海里さんの写真を父に見せられたとき、なんて素敵な人なんだろうと思って。
きっと捨てられると思いました」
飛ぶなあ、発想が……。