あまりさんののっぴきならない事情
「あまり……」

 あまりは土下座したまま、まだプルプル震えている。

 海里は笑って、あまりの身体の下に手を差し込み、抱き上げた。

 あまりが驚いたように自分を見る。

「なんでもいいじゃないか。
 切っ掛けなんて。

 遥真と俺は――」

 この先を言うのは抵抗があったが、

「親子かってくらい似てるから。

 お前が今、俺を好きなら、それでいいし。

 そうだ。
 騙されそうだから、逃げたいと思ったの、俺じゃなくて、遥真だったんじゃないか」

 俺、関係ないからな、と言う。

「なんでそんなやさしいんですか?」

 あまりは自分を見上げ、そう問うてきた。

「……嬉しいからだろ。
 お前がそんなにも俺のことを好きだとわかって」

 腕の中で、あまりは俯く。

「いろいろショックで気を失いそうです……」

 そう呟いていた。




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