あまりさんののっぴきならない事情
 



 海里の会社のビルの上で、海里がマントをひるがえし、笑っていた。

「かかったな、あまりっ」

 高所恐怖症のはずなのに、一緒にビルの上に立っているあまりは、ウエディングドレスらしきものを着ていて、海里に手を差し出し言う。

「はい。
 罠にかかっちゃいました」

 海里は少し笑って、あまりの手を取る。

 騎士のように片膝をつくと、あまりの手に月に輝く指輪をはめてくれた。

 ……そ、それ、盗んだものじゃないですか?
と如何にも怪盗という風情の海里に思いながらも、あまりは海里の口づけを受けた。





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