あまりさんののっぴきならない事情
番外編 海里のろくでもない日常
出会ってから、ずっとプロポーズしている気がするんだが……。
なんで未だに結婚してないんだろうな?
そんなささやかな疑問を抱きながら、海里は支社長室の窓から、カフェのある方角を見ていた。
あまりは今日も元気にあの店で働いている。
成田と一緒に……。
いや、そんなに働きたいのなら、此処で働け、と思っているのだが、どうしてもあそこがいいらしい。
まあ、わからないでもないが。
あくせく働いていた(?)窃盗犯も改心させる、のんびり加減の店だからな。
「出前でーす」
とお昼になったら、あまりが現れた。
たまにはお昼を持っていってあげますよ、と言っていたのだか。
あまりが、
「はい」
とデスクに置いたのは、カフェのベーグルサンドや小洒落た容器に入ったお持ち帰り用のスープだった。
「……お前の手作り弁当じゃないのか」
と文句を言うと、
「今朝、そんな暇ありましたっけ?
一緒に出たのに」
と言ってくる。