あまりさんののっぴきならない事情
 外国育ちだからですか?

 照れとかないんですか?

 見つめられて、そらせないけど、私は、本当は恥ずかしくて、今すぐうつむいて逃げ出したいですっ、と思い、耳まで真っ赤になって、固まっていると、海里がいきなり鋭い目と動きで振り返った。

「服部が来る気配がする」

 ……来る気配ってなんですか。

「戻れ、あまり」
と急いで、あまりの部屋のドアを開け、中に押し込むと、

「じゃあな。
 服部が来ても、ドアは開けるな。
 間に合ってますと言え」
と言う。

 ……なにが間に合ってるんだ、と思っている間に、もう一度、サッとキスする。

 とぼけた自分が信用ならなかったのか、外から鍵をかけ、行ってしまった。

 なんですか、その隙のなさ。

 服部半蔵より、貴方の方が忍者みたいですよ、と思う。

 いや、あの服部半蔵も忍者ではないのだが……。


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