あまりさんののっぴきならない事情
来い、と言って腕など引きずって行かれ、助けてください~っと海里に向かって叫ぶおのれの姿をなんとなく想像していたのだが。
寺坂は、うやうやしく頭を下げ、
「こちらへどうぞ、南条様」
と言ってきた。
すると、今、妄想の中で、吸血鬼のようなマントを羽織り、助けてと叫ぶ自分を蔑むように見て笑っていた海里が、
「寺坂。
そいつをそんな丁重に扱う必要はない」
と言ってくる。
うむ。
こいつはイメージ通りだ、と思っていると、寺坂が笑って言ってきた。
「でも、南条様は、支社長のお見合い相……」
「寺坂」
と海里は最後まで言わせず、その名を呼んだ。
「いいから、あまりを連れていけ。
絶対、特別扱いするなよっ」
だが、海里が凄んで見せても、寺坂は笑いを堪えているような顔で、はい、と言い、
「では、こちらへ、南条……南条さん」
と言い換えていた。
寺坂は、うやうやしく頭を下げ、
「こちらへどうぞ、南条様」
と言ってきた。
すると、今、妄想の中で、吸血鬼のようなマントを羽織り、助けてと叫ぶ自分を蔑むように見て笑っていた海里が、
「寺坂。
そいつをそんな丁重に扱う必要はない」
と言ってくる。
うむ。
こいつはイメージ通りだ、と思っていると、寺坂が笑って言ってきた。
「でも、南条様は、支社長のお見合い相……」
「寺坂」
と海里は最後まで言わせず、その名を呼んだ。
「いいから、あまりを連れていけ。
絶対、特別扱いするなよっ」
だが、海里が凄んで見せても、寺坂は笑いを堪えているような顔で、はい、と言い、
「では、こちらへ、南条……南条さん」
と言い換えていた。