午前0時、魔法が解けるまで。
「あ。こんなところにあっ――」
あった。と本来置かれているはずの場所とは違うところに紛れ込んでいた本の背表紙に手を伸ばした。
本棚と本棚の間で通路になった先、広場のようになっているところに読書や書き物ができるように勉強机が設置されている。
そのあたりに何やら話し込んでいる男女の姿を視界の端に捉えて、何の気なしにそちらに視線を向けた。
「増田先輩」
と、美香だった。
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