午前0時、魔法が解けるまで。
「大学、です……。西館の、たぶん、海洋生物研究室。」
『わかった。今すぐ行くから、そこで待っていてもらってもいいかな?』
私がはいと弱々しい返事をすると、じゃあ待っててね、と電話が切られた。
力が抜けて、スマートフォンが手から滑り落ちる。
カシャン、と響いた音がやけに虚しく感じて私は八つ当たりのように自分の髪の毛をめちゃくちゃにかき回したあと、壁にもたれかかって膝を抱えた。