午前0時、魔法が解けるまで。
「す、砂川さんのことじゃないから……」
手に持った一口分、最後のメロンパンを由美子の口元に持っていくと由美子はあーん、と口を開ける。
雛鳥に餌を上げてる親鳥って、いつもこんな気分なのかな。
「どうだったのさ、初デートは。ちょっとは進んだ?」
「初デートじゃないし進むも何も付き合ってない」
指先にまとわりつく砂糖をメロンパンの袋の中で払い落として、その中に空になった牛乳パックを押し込む。