午前0時、魔法が解けるまで。
美香。
そう言おうとして、私は口を開けたまま言葉を失った。
がっちりと私の腕を掴んだのは、私よりも頭二つ分も大きい、見知らぬ男の人だったから。
「ごめんねぇ、優衣?」
状況を理解できず固まっていると、背後から甘ったるい女の声がした。
それに反応して私が振り向く前に、背中に衝撃と痛みが走って私は前のめりに倒れ込んだ。
床に打ち付けられた痛みに悶えながらも体制を立て直して、背中を蹴った人物を見ようと顔を上げる。
「どうして」
震える声で、私は問いかけた。