午前0時、魔法が解けるまで。
「あ、ごめんね」
男の人はパッと私から手を離して、自分の落ちかけていたパーカーの帽子を目深に被り直した。
「困っているみたいだったから。緊急事態とはいえいきなり触ったりしてごめん」
「えっ、あ、いえ!全然!助かりました!ありがとうございます!」
地面に髪の毛がつくくらい深々と頭を下げると、頭上から小さく吹き出す声が聞こえたのがわかった。
――わ、笑ってる?
顔を上げると男の人は思った通りに笑っていて。