午前0時、魔法が解けるまで。
「お母さん……ここって」
「病院よ。あなた、大学で倒れたんだって」
白を基調とした室内に、申し訳程度に引き出しのついたテレビ台とブラウン管テレビが置かれている。
かすかに聞こえる雑音に窓の方を見れば、酷く土砂降りの様子だった。
「ねえお母さん」
「なあに?」
死んでしまうかと思ったと言いながらハンカチで目元を押さえる母に気の利いた言葉をかけることもできず、私は別のことを切り出した。