午前0時、魔法が解けるまで。
「あ、そうだ優衣ちゃん」
「相変わらず切り替え早いですね」
先ほどまでちらついていた薫くんの弱い部分なんてもうすっかり王子様フェイスで隠されていた。
薫くんは着ていたジャケットのポケットからスマートフォンを取り出した。
「携帯新しくしたから、連絡先を交換しよう」
言われてみれば、以前使っていたのは型の古い黒いビジュアルのスマートフォンだったが、今薫くんが手にしてるのはシルバーの薄型スマートフォン。
最新機種だった。