午前0時、魔法が解けるまで。
「ま、間違えた……」
取り出し口に手を突っ込んでそれを確かめてみれば、無糖のブラックコーヒー。
カフェオレやミルクティーを好んで飲むことからわかるように、私はブラックコーヒーは絶対に飲めない。飲みたくない。
「どれが飲みたかったんだ?」
「あ、えっと……緑茶を」
「どうやったら間違えるんだよ」
すかさず入ったツッコミに私は苦笑いをして缶コーヒーを握りしめた。
逢坂くんも飲み物を買いに来たらしく、手馴れた手つきで電子マネーでの購入をしている。