午前0時、魔法が解けるまで。
「私……先輩に捨てられた……」
「せんぱいに」
美香の言葉に私は思わず震える声をもらして、彼女の顔を見た。
泣き腫らしたような真っ赤な目尻に少し充血した目。彼女がとても嘘をついているようには思えないが、私は耳を疑わざるを得なかった。
「優衣、聞かなくていい!」
由美子が慌てて美香の腕を掴んで私から引きはがす。
彼女は特に抵抗することなく由美子に引き上げられ、力なく立ち上がってからまた床に座り込んだ。