午前0時、魔法が解けるまで。
「女性関係にだらしない上に暴力。どうしようもない男ですね」
顔を上げると薫くんが増田先輩の首根っこを掴んで、そのまま地面に叩きつけるように背中を蹴り飛ばした。
「薫くん……」
「優衣ちゃんごめんね。証拠を撮るために助けに入るのが遅くなっちゃった」
そう言った薫くんの手にはスマートフォンが握られていた。
ちらりと見えた画面はカメラモードになっていて、どうやら先ほどのやりとりを録画していたらしい。