午前0時、魔法が解けるまで。
「どうして、ここがわかったんですか?」
私のボロボロになった服を見て、薫くんは着ていた自分のジャケットを脱いで私の肩にかけた。
1回りも大きいそれは私身体を簡単に隠してしまう。
「君のことなら何でもわかるよ」
おおかた、由美子がいなくなった私に気がついて慌てて砂川さんに連絡したのだろう。
由美子なら私が増田先輩の元に行ったと推測できるだろうし、話すとしたら内容が内容なだけに人目を避けるだろうことも推測できる。
そうすると、この時期に人目のない場所を2、3ヶ所に割り出すことができるはず。
それでもなんだか薫くんなら本当に魔法でも超能力でも使えてしまう気がして、私は小さく微笑んだ。