胸キュン、はじめました。
「ねっ、だから澪ちゃんが変な男に引っかからない為にも、ちゃんと彼氏を探してあげたいの! ハヤテちゃん、手伝って?」

「手伝って欲しいと思ってんなら、その目、その甘ったるい話し方はヤメロ」


リイちゃんの大きな瞳がキラキラビームを放ってる。このビームを浴びた人間はリイちゃんの操り人形と化す……はずだけど、入江くんはどうやら違うらしい。

私は今までにたくさんのそういう男子を見てきたけど、入江くんはさすがは幼馴染みと言ったところだろうか。

付き合いの長さは伊達じゃないみたい。


「えへへー、やだよーん」


そう言いながら、リイちゃんは入江くんの腕にしがみ付いた。


「ハヤテちゃんが分かったって言ってくれるまでやめないよーん」

「わーったよ! だから離せって」


リイちゃんの甘え勝ち。まるで妖怪か何かの類かと思うほどしつこく腕にぶら下がって離さなかったリイちゃんを見てて、なんかこういう妖怪なら可愛いからいいなって思えた。

というか、これだけ可愛ければ妖怪じゃなくて妖精……? なんてしょうのない事を考えていると、腕に出来たシワを伸ばしながら入江くんは私に向き直ってこう言った。


「んで、俺にどうして欲しいわけ?」



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