胸キュン、はじめました。
「まぁ、なんにせよ一歩前進したのには間違いないもんね!」


両手で拳を作って、脇を締めながら首を傾ける天使。そんなリイちゃんにならって私も首を傾けた。


「引き続き、ハヤテちゃんと恋のレッスン頑張って!」

「恋のレッスン?」

「胸キュンしたら、今度は恋だよ、恋! 恋は乙女のスパイスなんだよー」


うふふっ、と笑うリイちゃん。さっきあげた飴がリイちゃんの片側の頬をぷっくりと膨らませている。

そんな頬を指でつつきながら、私はリイちゃんに微笑みを送った。


「リイちゃんは可愛いね。リイちゃんの彼氏になる人は幸せ者だね」

「えへへーありがとう。そういえば澪ちゃんってリイの彼を見たことないよね?」


えっ? リイちゃんって彼氏いないんじゃなかったっけ?


「この間別れたとか言ってなかった?」


リイちゃんはもちろんモテる。これだけ可愛いのだから彼氏の一人や二人いてもおかしくないけど、確か先月あたりで別れた話を聞いた気がするんだけど……。


「うん、それで先週新しい彼ができたのー」


うふふと笑いながら、ポケットからスマホを取り出した。

はい! なんて気合いを入れて見せてくれた待ち受け画面には、お人形さんのように可愛く笑うリイちゃんと、その隣にはこれまたお人形さんのように可愛らしい男の子が頬をぴったりくっつけて笑っている。


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