胸キュン、はじめました。
「今あいつとなに話してたんだ?」

「えっとー……」


どこまで素直に答えたらいいんだろう。

そういえば入江くん、松本先輩とだけはやめとけって言ってたっけ。

デートも二人でするなとかなんとか。

ということは、きっとこの松本先輩からのオファーも良くは思わないよね……?


なんて私がいろんなことを考えていると、入江くんの背後でボールを蹴りあってたペアのお友達がなにやらまた叫んでいる。


「入江くん、早く戻らなくていいの?」

「チッ」


入江くんが舌打ちした。あらま、ご機嫌はどうやらナナメです。


「部活終わったら話聞くからな」

「頑張って」


エールだけ送ってみたけど、ボールを拾った入江くんは私を睨むみたいにしてさらにこう言った。


「部活見学するならあっち側にいろよ。ここは体育館が近いし、人通りも多いからな」


あ、入江くんが命令口調だ。紳士な入江くんが時々言う命令に、私は敬礼のポーズで答えた。

そんな私の姿をもう一度ジロリとみた後、入江くんは部活に戻って駆けていく。


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