胸キュン、はじめました。
私がしばらく首を傾げていたせいか、入江くんは真っ直ぐ私の目を見てこう言った。


「よし、俺に任せろ。俺が篠田さんにちゃんとした彼氏ができるようにするから」


いや、そんな使命感おびなくても……。

そう思うけど、入江くんがあまりにも真剣な目でそう言うから、なんとなくそんなこと言って話の腰折るのはいけないことのように思えて、私は口をつぐんだ。


「ハヤテちゃんがやる気になってくれて嬉しいな。これで澪ちゃんも安心だね、澪ちゃんは知らないと思うけど、ハヤテちゃんは何気にモテるんだよー。だからきっと澪ちゃんの力になってくれるよん」


入江くんがモテるからっていう理由は、私のこの淡白な恋愛感情にどう作用してくれるのだろう?

そう思いつつ、私は入江くんに視線を向けた。


昨日まで話した事のなかった入江くん。まさかの展開に驚きつつも、私はひとまず頭を下げた。


「それじゃ、せっかくなので……お手柔らかに宜しくお願いします」

「では早速、今日の放課後空けといて」

「えっ、なんで?」

「女子に人気の男子調査しに行くから!」


じゃあな。なんて言いながら少し生き生きとした様子で立ち去るその様子を見て、


ーーなんか、新しいおもちゃを見つけた子供みたい……。


そんな風に思った。


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