胸キュン、はじめました。
正確に言えば、ときめきとか胸キュンとやらは知っている。

今や私も高校生だ。人並みに漫画だって読むわけで、少女漫画と呼ばれるジャンルには、あちこちにそのときめきやらキュンとやらが散りばめられている。

というか、時には擬音語で書かれてるし。


だけど……。


「えー、澪ちゃんそれってマジなの?」


クラスメイトの理衣(リイ)ちゃん。

高校生にもなってちゃん付けで呼ぶのもどうなのかな? とか思いつつ、リイちゃんが人形さんみたいに可愛くていつも声優さんかな? と思える声色でちゃん付けしてくれるものだから、それにならって私も同じように呼んでいる。

というかリイちゃんは呼び捨てよりちゃん付けで呼び合う方がイメージ的にも合ってると思う。

それくらい可愛い。

私のここ最近の癒しでもある。


「マジとは?」


私がそう聞き返すと、リイちゃんは真珠よりも大きくて真ん丸な瞳をさらに大きく見開いた。


「胸キュンが分からないって話だよぅ!」


甘ったるい話し方もリイちゃんがすると物凄く可愛いと思う。

胸キュンが良く分からないって話から派生した話だけど、リイちゃんを見てるとキュンの感覚が分かりそうな気がする。

気がするってところがミソだけど。


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