胸キュン、はじめました。
「チャラいかどうかは別として、入江くんダメだと思うよ。好き嫌いだけでああいう態度を取るのは。ましてや相手は上級生なんだし、年上は敬わないと」

「年上でも尊敬できるかどうかは別だろ。敬うかどうかは俺が決める」


なるほど、入江くんはちょっぴり短気で、自分の中に辞書を持ってるタイプだったのか。


「でも篠田はああいうタイプがいいんだな? そんなので今までよく変な男に引っかかんなかったもんだな」

「ああいうタイプっていうのが入江くんが言うところのチャラいナンパ野郎だって言うんだったら、私の答えはノーだし、そうじゃないならああいうタイプっていうのがどういうタイプになるのかを教えて欲しいのだけれど?」


私は真面目にそう言ったのに、入江くんは膝に手をつくくらい、盛大なため息をひとつ吐き出した。


「リイが心配する意味がやっと分かったわ。篠田って本当に危なっかしいな」

「……そう、かな?」


そうなの? そう思って首を傾げて見るけど、入江くんは呆れた様子のまま私の手をしっかりと握り締めて歩き始めた。


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