胸キュン、はじめました。
「なんだよ、リイ。急に呼び出しやがって……」


かったるそうにポケットに手を突っ込みながらやって来たのは別のクラスの男子。

名前はえっと〜……。


「ハヤテちゃん、ハヤテちゃん。君の力を貸して欲しいのだよ」


ああ、そうだ。入江(イリエ) (ハヤテ)

確かサッカー部で一年生の頃から選抜に選ばれるくらいの凄腕だって、前に誰かが言ってたっけ?

あれ? それはリイちゃんが言ってたんだっけ?


……まぁ、どっちでもいいか。


「なんかめんどくさそうだな」

「ちょっと〜、まだ何も言ってないのにぃ〜」


リイちゃんは頬を膨らませて抗議してる。

あの頬を突いてやりたいと無性に思って、本能のままに動き出そうとした手を私は静かに押さえつけた。


「いやだって、お前がお願いごとする時は大抵めんどくせー事ばっかじゃん」


そう言って、入江くんはリイちゃんの頬を突いた。

ぶーっと音をたてながらリイちゃんのハムスターみたいな頬は萎んでいく。

その様子をみて、私は抑えていた手を解いた。


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