胸キュン、はじめました。
というか、二人ってそんなに仲よかったんだ? そういえば幼馴染とかって言ってたっけ?

私が入江くんをジロジロと見過ぎていたのかもしれない。


「っで、用件はなんだよ」


入江くんはちらりと私を一瞥したかと思えば、あっさりこちらに背を向けてリイちゃんと話し始める。

私は入江くんと接点もなければ、話した事もない。

同じ学年だから校内で見かけた事はあるけど、それだけ。

そりゃこういう態度になってもおかしくはないよね。なんて思って入江くんの背中越しにリイちゃんを見やる。

リイちゃんは何をお願いするつもるなのだろう……そう、思って。


「澪ちゃんの為に人肌脱いで欲しいの!」

「なんだそれ」

「ちょっ、リイちゃ……」


今度は私が席を立つ番だ。リイちゃんが言いたい事を予測して、止めようとしたけど、どうやら手遅れだったみたい。


「澪ちゃんに彼氏を作るお手伝いをして欲しいの」


ほーら、こうなった。

そして、


「……はぁ?」


そうそう、そういう反応になるよね……。

リイちゃんの口を塞げなかった事に脱力し、私はそのままストン、と席についた。


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