胸キュン、はじめました。
「意味わかんねーんだけど? なんで俺がそんな事しなきゃなんねーわけ?」


ちょっとリイちゃん、入江くんがちょっと怒ってますよ。

そんな意味不明な事言われたらそういう反応になるのも当然だと思いますよ。


「澪ちゃんってばときめいた事とかないんだよ? あたし達もう高校2年生なんだよ? このままじゃ澪ちゃんが変な男に引っかかっちゃいそうで、リイは心配なの」

「知るかよ。だからってなんで俺なんだよ」


ごもっとも。

私は思わず入江くんに同情してしまった。


「だってこんな事頼めるのハヤテちゃんくらいしか思いつかなかったんだもん〜」

「本当に知るかよ!」

「あっ、あのっ!」


入江くんの苛立ちが募ってきている中、入江くんが……というより自分が不憫にさえ思えてきたこの状況で、手を挙げた。


「リイちゃんの心配はありがたいけど、これは私の問題なので、気にしないで」


ずっと背を向けてリイちゃんと話していた入江くんは、その険しい瞳を私に向けた。


< 9 / 176 >

この作品をシェア

pagetop