王子様と私。
授業も終わり、あとは毎日の日課である保健室に顔を出しに行くだけになった。
「じゃあ私部活行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
綾乃は私と違ってとても運動神経がいい。だから中学でもやっていた陸上に入るのかなーと思っていたら、小さい頃から習い事で私と一緒にやってきた弓道部に入った。
綾乃曰く、2つの種目を頑張るのがしんどくなったそう。だったら弓道一本にした方が精神的にも身体的にも楽かもしれないということだった。
もちろん私は帰宅部。でも習い事は今でもいくつかはしている。
主には弓道と茶道。あと最近は着付けとかしてるかも。親から言われてやり始めたものばかりだけど、今はとても楽しくやっている。
「吉沢さん」
「?あ、王子」
「その王子ってやめてもらっていいかな?気軽に柳弥って呼んでも」
「遠慮します。そこ、退いてもらえますか?私保健室用があるんですけど」
「そうなの?」
見ればわかるでしょ…この人本当にバカだね。
コンコン
「2-Aの吉沢七海です」
「入っていいよー」
ガラガラ
「今日は大丈夫そうだな」
「そうだね。多少靴が汚れてるだけだよ」
「どれ?」
「見せたら余計心配されるから見せない」
「どちらにせよ綾乃にバレてるだろうから綾乃から聞く事にする」
今朝、下駄箱を見ると上履きがズタズタにされていた。今日はたまたま朝練のなかった綾乃と登校していたから、綾乃にはバレている。
こういう時の為に、今履いているものは毎日持ち帰っている。ゴミになっていいような上履きを毎日持って来て、置いて帰って、という謎の儀式を毎日行っている。
「そろそろ教育委員会に報告したいんだが?」
「それはダメだよ燈弥くん。相手はお嬢様だよ?私みたいな一般ピーポーが報告したら余計に火花が飛んでくるのが目に見えてる。うちの子がそんなことするはずがない、この地味子が自作自演してるんだって」
「……経験者は語るって感じがするな」
「あー……昔ね、耐えきれなくて校長に言ったら、教頭とその他大勢の先生から私を責め立てたの。お前が悪い、って…本当は理事長に報告するべきなんだろうけどね?忙しい人だから」
「七海」
「私なら大丈夫。お父さんとお母さん、綾乃に燈弥くん。何より……柳弥がいてくれるんだもん。大丈夫だよ」
「七海……いつでも頼れよ。俺らはお前の味方だから」
「ふふ、ありがとう。じゃ、失礼しました」
「おう、またな」
バタン
「兄貴とは仲よさげに話すんだな」
「お世話になってるからね」
「何で俺には冷たいんだよ」
「学校ぐらい我慢しなさいよ」
「無理」
「駄々っ子ですか!ほら、帰るから先行ってて」
「チッ…早く来いよ」
「はいはい」
ご覧の通り、周りには隠しているけど私と柳弥は知り合いです。というか幼馴染みです。
ついでに言えば、中学1年から柳弥とお付き合いをしています。経緯を話せば長くなるので話しませんが、告白してきたのはあっちです。
何故隠れてコソコソしているかといえば、柳弥の株を下げたくないからという理由が1つと、もうこれ以上いじめを受けたくないという私のわがまま。
柳弥は割とどこでもベタベタしたい甘えん坊タイプだから、学校ではなるべく話さないって決めた時、猛反対されたのは今でも覚えている。
でも2つ条件を出された。
1つ目は、登下校は必ず一緒に行くこと。他の生徒が見えたら別の道から行くようにはしている。
2つ目は、土日は柳弥の部屋に泊まること。
あと付き合う時に、デートはコンタクトっていうのもある。
本当面倒くさい…
「じゃあ私部活行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
綾乃は私と違ってとても運動神経がいい。だから中学でもやっていた陸上に入るのかなーと思っていたら、小さい頃から習い事で私と一緒にやってきた弓道部に入った。
綾乃曰く、2つの種目を頑張るのがしんどくなったそう。だったら弓道一本にした方が精神的にも身体的にも楽かもしれないということだった。
もちろん私は帰宅部。でも習い事は今でもいくつかはしている。
主には弓道と茶道。あと最近は着付けとかしてるかも。親から言われてやり始めたものばかりだけど、今はとても楽しくやっている。
「吉沢さん」
「?あ、王子」
「その王子ってやめてもらっていいかな?気軽に柳弥って呼んでも」
「遠慮します。そこ、退いてもらえますか?私保健室用があるんですけど」
「そうなの?」
見ればわかるでしょ…この人本当にバカだね。
コンコン
「2-Aの吉沢七海です」
「入っていいよー」
ガラガラ
「今日は大丈夫そうだな」
「そうだね。多少靴が汚れてるだけだよ」
「どれ?」
「見せたら余計心配されるから見せない」
「どちらにせよ綾乃にバレてるだろうから綾乃から聞く事にする」
今朝、下駄箱を見ると上履きがズタズタにされていた。今日はたまたま朝練のなかった綾乃と登校していたから、綾乃にはバレている。
こういう時の為に、今履いているものは毎日持ち帰っている。ゴミになっていいような上履きを毎日持って来て、置いて帰って、という謎の儀式を毎日行っている。
「そろそろ教育委員会に報告したいんだが?」
「それはダメだよ燈弥くん。相手はお嬢様だよ?私みたいな一般ピーポーが報告したら余計に火花が飛んでくるのが目に見えてる。うちの子がそんなことするはずがない、この地味子が自作自演してるんだって」
「……経験者は語るって感じがするな」
「あー……昔ね、耐えきれなくて校長に言ったら、教頭とその他大勢の先生から私を責め立てたの。お前が悪い、って…本当は理事長に報告するべきなんだろうけどね?忙しい人だから」
「七海」
「私なら大丈夫。お父さんとお母さん、綾乃に燈弥くん。何より……柳弥がいてくれるんだもん。大丈夫だよ」
「七海……いつでも頼れよ。俺らはお前の味方だから」
「ふふ、ありがとう。じゃ、失礼しました」
「おう、またな」
バタン
「兄貴とは仲よさげに話すんだな」
「お世話になってるからね」
「何で俺には冷たいんだよ」
「学校ぐらい我慢しなさいよ」
「無理」
「駄々っ子ですか!ほら、帰るから先行ってて」
「チッ…早く来いよ」
「はいはい」
ご覧の通り、周りには隠しているけど私と柳弥は知り合いです。というか幼馴染みです。
ついでに言えば、中学1年から柳弥とお付き合いをしています。経緯を話せば長くなるので話しませんが、告白してきたのはあっちです。
何故隠れてコソコソしているかといえば、柳弥の株を下げたくないからという理由が1つと、もうこれ以上いじめを受けたくないという私のわがまま。
柳弥は割とどこでもベタベタしたい甘えん坊タイプだから、学校ではなるべく話さないって決めた時、猛反対されたのは今でも覚えている。
でも2つ条件を出された。
1つ目は、登下校は必ず一緒に行くこと。他の生徒が見えたら別の道から行くようにはしている。
2つ目は、土日は柳弥の部屋に泊まること。
あと付き合う時に、デートはコンタクトっていうのもある。
本当面倒くさい…