王子様と私。
所変わって会社に着きました。

「すみません、吉沢洸海いますか?」

「申し訳ありません、アポイントは取られていますか?」

「いえ…」

「でしたらお引き取り願います。洸海様は現在忙しい身でありますので、ご用件のある場合はアポイントを取ってからまたお越し下さい」

またダメか……洸ちゃんもここに呼ぶぐらいなら受付の1人ぐらい話通しててもいいじゃん…帰りたい。目線が痛い。

「あれ?七海?」

「か、会長…!どうされましたか?」

「ん?社長様に呼ばれたから来たんだけど…この子通していいよね?」

「そちらの方は…部外者ではないですか?」

「超重要な人だよ」

「どうしたの……七海様!貴女、このお方を何で通さなかったの!」

「え!アポイント取られてなかったので…」

「このお方は特別なの!申し訳ありません、七海様」

「いえ…もう慣れましたんで…証明書貰えますか?」

「今ご準備します」

「ありがとうございます、蓮水さん」

「名前…覚えてくれたんですね」

「何回も丁寧な対応をしてくれてますから」

「ありがとうございます。こちら証明書です。ごゆっくり」

「ありがとうございます」

「七海、行こうか」

「うん」

突然現れた私の隣を歩くダンディーなおじ様は、私のお父さん。こう見えてまだ48歳。見た目的にはまだ30代後半に見えなくも無い…自慢のお父さん。

途中から来た受付のお姉さんはいつも私を対応してくれている蓮水さん。今日はたまたま席を外していたから、私を知らない受付のお姉さんが対応してくらてたんだけど、いつもこの時間は蓮水さんがいることが多い。

「お父さん、ありがとう」

「ん?別に俺は何にもしてないよ」

「本当かっこいいね」

「七海にそう言われると嬉しいなぁ」

「ふふ」

「七海はいつもの?」

「そうだね。洸ちゃんからの呼び出し。入力だけだから、だって」

「あいつも立派な社長なんだからそれぐらい自分でしろよ…」

「まぁ私も楽しいから手伝ってるし、苦ではないかな」

「そうか………最近、学校どうだ」

「学校?そうだね…楽しいよ。相変わらずいじめはあるけど」

「いい加減俺の堪忍袋の緒が切れそうなんだが?」

「相手の家、知ってるでしょ?」

「俺の会社より格下」

「まぁ…そうだけど……私は学校で素性隠してるの。それに…柳弥に迷惑かけたくないし」

「七海……本当にダメになる前にちゃんと言うんだぞ」

「はい」

私が稼いだお金、私が築いた地位じゃないものを自らのものであるかのように威張る彼女達が滑稽で仕方がない。
私もいつか2人みたいに、とは思わないけど、2人みたいなかっこいい大人にはなりたいと思う。
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