二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる

翌日

いつもの月曜日より体が怠い。

はぁ…
疲れが残ってるわ
月曜からこんなんでヤバイよ
今日は早く帰って寝よ

残業にならない様に黙々と伝票の処理をしていると、先輩の木本さんから声をかけられた。

「大場さん、先月在庫の確認したのって大場さんよね?」

「はい… 確かに先月在庫確認しましたけど、何かありましたか?」

「ドッカンドッカンの在庫が可怪しいのよ」

ドッカンドッカンとはお通じをスムーズにするというサプリメント。実際効くのか怪しいもので、社員価格として7割引きで買えるが女性社員は誰も買わない。というより、他の健康食品も誰一人として買う人は居ない。

社員が自分の会社の扱う物を信用しないで、お客様には良いものだと勧める。こんな会社良いのかと思うけど、前の会社をリストラされ、なんの資格も無いあたしを雇ってくれた会社なのだから辞めるわけにはいかない。

「え?… これ可怪しいです。私が確認した時は間違いなく規定数内でしたし、今回は在庫が合ったので、なにも発注掛けてません」

木本さんに見せられた帳簿には、規定数の3倍から5倍の数字が記入してあった。なかでもドッカンドッカンは規定数の10倍の数字が記入してある。

「可怪しいわね… 」と言って木本さんは自分の席に戻っていった。

木本さんは歳は私とひとつしか変わらないけど、大学新卒で入ってるから、女子社員の中でも一番のベテランだ。仕事で分からない事は木本さんに聞けば間違いないし、親切に教えてくれる。





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