二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる
ちょっと年上の彼氏
ー金曜日ー
今週もやっと終わった…
もともと忙しい会社では無いが、最近は特に仕事の量が減っているように思う。仕事も無く一日座ってるのはかえって疲れる。
いつもなら週末はホテルのバーに飲みに行くのだが、今日止めておく。
先週、飲み仲間の槇さんとからだの関係をもってしまい、私は槇さんが目を覚ます前に、ホテルから逃げるように帰って来た。だから槇さんと顔を会わせるのは気まずい。
彼が今夜もあのバーに行くかは分からない。でも、私が行って彼が来なかったら、それはそれで寂しい気がする。
今日はおとなしく帰ろう…
更衣室で着替えを済ませ会社を出ると、車にもたれるように立つ槇さんが居た。
どうして…
確かに、私は仕事の愚痴は話していた。しかし、会社名や会社の所在地は話していない。
槇さんはにっこり笑って「お疲れ様」と言ってくれた。そして車の助手席のドアを開けた。
それは…私に乗れという事だろうか…?
動けずにいる私の背中を押したのは、先輩の木本さんだった。
「素敵な彼ね?ほら、早く乗らないと私が乗るわよ?」と、言って木本さんは笑った。
私は木本さんへ苦笑して、槇さんの車に乗った。
槇さんは運転席に乗り込むと、ただ前を見て車を走らせた。そして車のついた所は、私達のお気に入りのバーがあるホテルだった。