二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる

輝一君と遊園地デートの後、うちに来るという輝一をなんとか断り、ファミレスで食事をして帰って来た。

「あぁ疲れた…お風呂入って早く寝よ」

久し振りの健康的なデートに足はパンパンで疲労感はんぱない。

「でも、本当にどうしようかな…」


あたしには日を前後して、もうひとり身体の関係を持った人がいる。飲み仲間だった槇さんとつい先日関係を持った。とくに告白された訳でも無く、その場の雰囲気と言うか、互いが流されたという事だ。でも後悔はしていない。槇さんはホント素敵な男性だから、あたしも何処かでそうなる事を期待していたかもしれない。

槇さんと知り合ったのは半年ほど前、仕事帰りに寄ったホテルのバー。そこでよく顔を合わせる客どうしだった。初めは挨拶程度の仲だったが、次第に飲み仲間になり、仕事の愚痴を聞いて貰い、人生の相談に乗って貰っていた。

槇さんと身体の関係を持ったが、あたしは彼の事は何も知らない。名前が槇という事だけで、歳も仕事も独身なのかさえ知らない。勿論住んでいるところも知らない。いつも槇さんは、あたしの話を聞いてくれるだけで、自分の事は話さなかった。

関係を持った朝、彼が起きる前にあたしはホテルの部屋を出た。

だって… 
あんな素敵な人が一人なわけ無い
あたしを抱いたのは、ほんの気まぐれ

多分…
もう会うことは無いだろう





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