楕円の恋。
私達は歩きながら今日の事を振り返っていた。

試合の話や買った服の話、カラオケの話。

3人でゲラゲラ笑いながら歩いた。

もうすぐ駅前の広場に着こうとした時だった。

『あっ、、、』

あかりちゃんが思わず声をあげた。

『ん?どうしたの?』

圭子ちゃんが不思議そうに聞く。

あかりちゃんは、暫く黙って考え込んで、

前方を指を差した。

私と圭子ちゃんはその方向を見た。

私は歩く足を止めてしまった。

圭子ちゃんは無言で肩に手を置いてくれた。

私達の目線の先30メートルぐらいだろうか。

私はもっともっと遠くに感じたが、

片桐先輩が女の子と腕を組んで歩く姿があった。

『涼ちゃん大丈夫?』

圭子ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。

あかりちゃんも心配そうにこっちを見つめる。

『あはは。大丈夫。大丈夫。意外なくらいシャックない。2人はお似合いだし』

私は強がって笑って言った。

でも、以前の私なら涙が出ていたはずだが、不思議と今日は涙が出てこなかった。

『なんか、これでやっと諦めつきそう』

私はプラスに、考えた。

片桐先輩は好きじゃなく憧れだったんだとそう自分に言い聞かせた。

それに、私が気になっていたことも解決した。
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